歯周病は、歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつき、口臭などの症状 が現れる口の中の感染症です。これまでは手術による治療が一般的でしたが、体への負担を考えると手術は避けたいと考える方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、「歯周内科治療」をご紹介します。薬剤療法が中心で、手術を回避できる可能性もあります。歯周病でお悩みの方は、新たな選択肢として、ぜひご参考にしてください。
歯周内科治療とは、歯周病の原因となる菌やカビを特定し、薬剤によって除去することで症状を改善しま す。
抗生物質や特殊な歯みがき剤を使用し、口腔内全体 を同時に治療できるのが特徴です。従来の歯周病治療では、進行すると歯肉を切開し、歯垢や歯石、毒素を除去する外科手術が一般的でした。
外科手術は原因を直接確認し確実に除去できる方法ですが、体への負担が大きい点が課題とされてきました。
一方で歯周内科治療は、検査によって歯周病の原因となる細菌を特定し、それらを薬物で抑制します。重度の歯周病では、歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨が大きく失われ、症状が口全体に広がるケースもあります。
通常の歯みがきや治療だけでは改善が難しい場合でも 、歯周内科治療では細菌を 抑制し、症状の進行を食い止めることが可能です。また、10代から20代の若い方に起こる若年性歯周病にも用いられます。若年性歯周病は細菌感染や遺伝的な要素や免疫反応の異常も関係していると考えられています。
さらに、進行が早く少量の歯垢でもリスクが高い歯周病で、早期の薬物療法が進行抑制に有効です。歯周病の代表的な症状には、以下のようなものがあります。
日常生活のなかでも気づきやすい症状も多いため、ぜひ一度ご自身の状態を確認してください。
歯周病を長期的に改善するには、検査と治療計画が欠かせません。当院では、以下に挙げた3つの特徴を活かした治療を行っています。
それぞれ詳しくご説明します。
当院では、口腔内 の状態を詳しく調べるために、「位相差顕微鏡」および「DNA検査」の2種類の方法を採用しています。
位相差顕微鏡を用いることで、普段は目に見えない微生物を生きた状態で観察できるため、歯周病の原因となる菌の動きや状態を把握できます。
検査結果はモニターで共有し、患者さまがご自身の状態を直感的に理解しやすいよう配慮しています。
さらに、より精密な診断を行うために、DNA検査によって歯周病の原因となる菌の種類や量を正確に調べます。
当院の歯周内科では、治療前後に同じ検査を実施し、改善の度合いを数値で確認できるため、治療効果を客観的に把握しやすい特徴があります。なお、DNA検査は保険が適用されない自費診療です。
検査の結果をもとに、症状に合わせた治療を計画します。
菌やカビが多い場合、抗生物質(ジスロマックなど)とカビ抑制用の歯みがき剤(ハリゾンやペリオバスターなど)で治療を行い ます。
また、歯周病の状態を正確に把握するため、当院では以下のような複数の項目を詳しく検査します。
治療を始めてから1週間ほどで、多くの患者さまが歯ぐきの腫れや出血が改善してきたと実感されます。
当院では、治療後も定期ケアを継続し、再発予防に努めています。歯周病の原因となるカビは、口内の常在菌の一種です。
空気や食べ物、指などから自然と口の中 に入ってくるため完全になくすのは不可能です。
治療が完了したあとも再びこのカビが増え過ぎると歯ぐきが腫れ、歯周病が再発してしまいます。
また、タバコを吸うと口内環境 が悪化するため、治療中だけの禁煙では効果が期待できません。
さらに、治療後に喫煙を再開すると再発のリスクが高まります。日の歯みがきと定期的な検診が 再発予防に重要です。
当院では定期検診、歯みがき指導、歯石除去を通じて、健康な口内環境を維持します。
歯周内科治療は、一般的に保険適用外の自費診療です。
治療内容や使用する薬剤によって費用は異なりますが、以下に一般的な費用の相場を紹介します。
治療方法は症状の程度や生活環境、ご予算などを考慮しながら決めていきます。まずは検査を行い、その結果に基づいて最適な治療プランをご提案いたします。
当院では患者さま一人ひとりの状態に合わせて、きめ細かな治療とケアを提供しています。歯周病が気になる方は、まずはご相談にお越しください。