インプラント周囲炎は、インプラントの歯周病だといわれています。インプラント周囲炎や歯周病は歯周病菌に感染することで発症しますが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。
本コラムでは、インプラント周囲炎と歯周病の違いや関係性について取り上げました。インプラント周囲炎が怖い病気といわれる理由や、予防・早期発見につながる4つのポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
インプラント周囲炎と歯周病の症状は同じですが、インプラント周囲炎はインプラント治療を行った方にとって「怖い病気」だといわれています。なぜなら、インプラント周囲炎が悪化すると、せっかく治療したインプラントが抜け落ちてしまう可能性があるからです。
インプラント周囲炎は、症状に気づかないまま進行していることが多く、知らぬ間に周辺組織を破壊します。悪化してしまうと、治療したとしてもインプラントの脱落リスクが高く、維持率は5年後で60%程度です。
インプラント周囲炎は歯周病と同じ細菌が原因ですが、炎症の進行速度に違いがあります。天然歯にある歯根膜には、歯と歯槽骨を密着させ細菌の侵入を防ぐ役割があります。そのため、歯根膜のもつ免疫細胞が炎症を抑え、歯周病の進行を遅らせるのです。一方、インプラントは、進行を遅らせる歯根膜がないため、天然歯よりも早いスピードで炎症が進行します。結果的にインプラント周囲炎が知らないうちに進行し、周辺の組織を破壊します。
インプラント周囲炎が進行すると、インプラントがぐらつくだけでなく、噛み合わせにも影響が出てしまうでしょう。
インプラント周囲炎を予防するためには、4つのポイントを意識しましょう。
毎日のケアでプラークを取り除き、定期検診でインプラントのチェックとクリーニングをしてもらいます。定期検診を受ければ、気づきにくいインプラント周囲炎を早期発見し、早期治療につなげられるでしょう。また、歯ぎしりや食いしばりをしやすい方は、必要に応じてマウスピースを装着します。歯ぎしりや食いしばりは体重の2〜5倍の力が歯にかかり、歯茎の炎症を悪化させるといわれています。
さらに、なるべくタバコを控えるのもポイントです。禁煙すれば、ニコチンによって阻害されていた血液循環が良くなるため、歯茎の健康状態の改善が見込めます。口腔内を健康に保つためにも、喫煙習慣のある方は改めましょう。インプラントは、適切な管理をすれば10〜15年維持することが可能です。口腔内の健康を維持するためにも、インプラント周囲炎の予防を徹底しましょう。