自然の歯のように、見た目にも噛み心地にも優れているインプラントですが、治療後は正しいケアを継続していないと、あらゆる合併症が起こるリスクがあることをご存知でしょうか。
本コラムでは、インプラント治療における合併症のなかでも「インプラント周囲炎」に着目して解説していきます。合併症が起こる原因や危険性を理解し、正しいケアで歯とインプラントを守りましょう。
インプラント治療は手術したら終わり、ではありません。治療後は正しいケアを継続し、適切な状態を維持することが重要です。自然の歯と同じように、歯ブラシやフロスを活用し毎日のお手入れをしましょう。インプラント治療では、手術中から術後までさまざまな合併症の危険性があります。特に注意したいのは術後で、どんなに手術を完璧に行っても、その後のケアが不適切だと合併症を引き起こしてしまいます。
合併症の怖いところは、治療から数年経っても発症する可能性があることです。代表的な合併症として知られるインプラントの破損やインプラント周囲炎は、どちらも治療直後ではなく、数年後に起こる傾向にあります。日本歯周病学会の調べによると、国内でインプラント治療を行った患者に対してインプラント周囲粘膜炎に罹患しているのは33%、インプラント周囲炎に罹患しているのは9.7%と判明しています。合わせると約40%の方々が罹患しており、合併症はインプラント治療を受けた方にとって、身近な問題だとわかります。
インプラント周囲炎は、自然治癒しないので治療が必要です。炎症が進むとせっかく入れたインプラントを失う可能性があるため、状況が悪化する前に対処しましょう。インプラント周囲炎は、歯周病と同じように自覚症状がないまま進行する特徴があり、気づいたら悪化しているケースが多くみられます。しかし、症状の初期段階で適切なケアができれば、悪化を防ぐことが可能です。
インプラント周囲炎の初期段階に位置づけられる「インプラント周囲粘膜炎」は、歯茎上部の赤みや腫れ、出血などの症状が現れます。炎症が悪化し歯槽骨まで広がるのが「インプラント周囲炎」です。歯周病で歯が抜けるのと同様に、インプラント周囲炎も放置するとインプラントが脱落する恐れがあります。
インプラント周囲炎かもしれないと感じたら早急に歯科医院を受診しましょう。また、症状が現れていなくても定期検診を受けて予防に努めることが大切です。