歯科治療の方法を検討する際、【インプラント】と【セラミック】の違いを正しく理解している方は少ないかもしれません。そのため、「どんな治療法なの?」「どちらを選んだらいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、インプラントとセラミックの違いをご紹介し、それぞれの治療法の特徴を解説します。
ご自身にとって最適な治療法を選ぶ際に参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
インプラントとセラミックでは、治療の目的や手段が異なります。
インプラント治療は、歯を根元から失った場合に行われます。入れ歯やブリッジと並ぶ「欠損補綴(失った歯を人工物で補う)」の一つです。
一方でセラミック治療は、歯根が残っている場合に適応されるもので、虫歯や欠け、変色などに対する「修復治療(歯の欠損を補う)」です。
共通する注意点として、いずれも保険適用が認められず全額自己負担(自由診療)となることがあげられます。
保険適用される治療と比べて費用が高額となるものの、その分機能性・見た目・耐久性を重視する方には適した選択といえます。
自分自身の歯を失ったときに行われる治療で、なかでも、歯の根元(歯根部)まで失っている際に適応する治療法です。
失った歯根の代わりに「インプラント体」と呼ばれる土台を顎の骨に埋入します。その上に人工歯を取り付けます。
人工歯の寿命は、入れ歯が4〜5年ほど、ブリッジが7〜8年ほどです。インプラントの場合、適切なメンテナンスにより10〜15年間は使用可能で、ほかの人工歯よりも長く使用できます。
インプラント治療のメリット、デメリットについては、次節で詳しく解説いたします。
インプラントのメリットは次の通りです。
審美性が気になる方にとっては、自然な見た目で、天然歯と変わらない点は大きなメリットでしょう。機能面では、歯根にインプラント体を埋入しているため、しっかりと噛むことができます。
同じく歯の欠損治療としてブリッジがありますが、ブリッジでは両側の歯を削る必要があります。一方でインプラント治療は、ほかの歯に影響を及ぼしません。
インプラント治療のメリットについては、以下のコラムもご参照ください。
インプラント治療は自由診療のため、治療費が高額になります。
また、インプラント体を歯ぐきに埋入するために外科的手術が必要であり、ほかの治療法に比べて体へ負担がかかります。インプラント体に金属を使用しているため、金属アレルギーの方は治療対象外です。
インプラント治療のデメリットについて、さらに詳しく知りたい方は、以下コラムもご参照ください。
セラミックとは、詰め物(インレー)やかぶせ物(クラウン)の素材で、欠損した歯を補うものです。
自身の歯に治療を施すため、治療対象となる歯に歯根が残存していることが前提となり、歯根や歯周組織の健康状態によって適応可能か判断されます。
保険適用の治療で用いる「レジン」の寿命は2~3年ほどとされています。それに対し、セラミックは耐久性に優れ、平均寿命は10~20年です。
また、審美性にも優れており、例えば自身の歯の色調に合わせて製作できるため、治療後もほかの歯との違和感がなく、自然な見た目に仕上がります。セラミック治療のメリット・デメリットについて、次の節で詳しく解説します。
セラミックのメリットは次の通りです。
セラミックは変色しにくく、黄ばみなどの変色の心配が少ないのがメリットです。また、金属を使用しない治療のため、銀歯のように目立つこともなく、歯ぐきが黒ずむ心配もありません。
機能面でも汚れが付着しにくく、銀歯と比べると歯との適合性に優れ、細菌が隙間から入るリスクが低いなどのメリットがあります。
自身の歯に被せたり詰めたりする治療のため、自身の歯が残ります。抜歯や外科的手術を伴わないため、身体的負担が少なく済みます。
セラミック治療のデメリットは次の通りです。
セラミック治療もインプラントと同様に自由診療のため、一般治療に比べて費用が高額です。
セラミックは衝撃に弱く、強くぶつけたり、硬いものを噛んだりすると欠ける場合があります。歯ぎしりの習慣がある方にはあまり向いていない治療法です。
割れやすい素材であるために、セラミックの詰め物や被せ物には厚みが必要であるため、歯を多く削らなければなりません。
インプラントに比べて、虫歯治療をした歯が再び虫歯になる「二次虫歯」の可能性があるのもデメリットの一つです。二次虫歯になった場合は、歯を失うケースもあります。
どちらの治療法が合っているのかは、歯根が残っているかどうかにより異なります。
歯根が完全に失われている場合はインプラント治療が適応し、歯根が残っている場合はセラミック治療が適応します。ただし、歯根が残っている歯でも、歯根の健康状態によっては抜歯が必要なケースもあるため歯科医師の診断が必要です。
インプラント治療もセラミック治療も自由診療のため、費用は高額になりますが、それぞれメリットがある治療法です。
治療法を選択する際は、かかりつけの歯科医師に納得いくまで相談してください。当院では、十分なカウンセリングを行い、患者さまに寄り添った治療法を提案しております。