歯周病にならないための1番の予防方法は、日々のケアです。歯周病は急に進行することはなく、時間をかけて徐々に症状が出始めます。まだ発症していない方はもちろん、発症していても日々の歯みがきを丁寧に行なうことで、予防のみならず初期の段階であれば健康な歯に回復することも可能です。
歯周病は口の中の歯周病菌という細菌が口腔内の食べカスを栄養として増殖し、歯の隙間や歯周ポケットに入り込み歯を溶かしていく病気です。他にも免疫力が低下していると、カンジダなどの真菌によっても発症します。また、プラークの中には真菌や歯周病菌が多く含まれるため、歯周病初期の場合には、プラークコントロールとともに抗生物質や抗生真菌剤を使った化学療法を行なう場合もあります。
ただし、歯周病のどの段階にもプラークコントロールは必須で、日々の歯みがきが重要です。歯みがきといえば、毎食後きっちり磨いている方も多くいらっしゃいます。しかし、いくら磨いていても、正しい方法でなければ歯周病になるリスクは下げられません。歯周病菌は歯と歯の隙間、歯と歯肉の境目、かみ合わせの面に溜まりやすく、また、この場所は歯みがきでは磨きにくい部分です。
歯ブラシを当てる際は歯周病ポケットにフィットする斜めの角度で歯ブラシの毛先を45度に当てます。力を入れすぎると歯肉がすり減ってしまうので、力はあまり入れすぎず小刻みに動かしましょう。さらに歯ブラシも使い分けると効果的です。歯周ポケットのブラッシングには、毛先の先端が超極細毛のブラシになっているものが届きやすくなります。奥歯や歯肉との境目、歯並びの悪い部分にはヘッドの薄いものやタクトブラシが有効です。
歯ブラシと併用したいのが歯間ブラシやデンタルフロスで、歯と歯の隙間のプラークの除去に効果的です。歯周病予防の歯みがき粉や就寝前のデンタルリンスも、それだけで治療効果を発揮するものではありませんが、合わせて使用することで歯周病予防の効果をよりあげられます。ここまでしっかり歯みがきをしても、完全に汚れを取りきることはできていません。残りの磨き残しを除去するには、歯科医院でのクリーニングが必要です。
日々の歯みがきケアに加えて定期的な歯科検診やメンテナンスを行なうことで、歯周病のリスクや進行を抑えられます。歯磨き指導もしているので、正しい磨き方を習ったことがない方は一度指導を受けてみてください。また、歯のケア以外では生活習慣の見直しも歯周病の予防になります。不規則な生活やストレス、喫煙などはリスクとなるので、当てはまる方は歯みがきケアとともに普段の生活にも気をつけましょう。