歯周病の原因は歯垢といわれるプラークです。そのプラークは、歯周病の原因菌である歯周病菌を含む多数の細菌の集合体です。日々の歯磨きを怠ったり正しい歯磨きができていなかったりすると、細菌が歯と歯茎の間に集まりプラークを形成します。
プラークは、初期の段階ではネバネバのヌメリのような状態のバイオフィルムが歯に付着します。バイオフィルムの付着力は強く、うがいやマウスウォッシュでは除去できません。一方で、プラークの状態であれば、歯磨きやフロスを用いて物理的に除去することが可能です。バイオフィルムは時間をかけて作られます。歯磨き後8時間経過したころからゆっくり細菌が集まり始め、48時間を超えると細菌の成長が急速に早まり、72時間後にバイオフィルムとして完成されます。
そのため、食後はこまめに歯磨きをすることでバイオフィルムの形成を防止できます。歯垢の状態を放置すると唾液中のカルシウムなどの成分と作用して石灰化を起こします。石灰化したものを歯石といい、硬く歯の表面に付着してしまっています。歯磨きでは除去できず、歯科医院で機械により除去が必要です。
もし歯垢や歯石が溜まった状態のまま放置していると、どんどん新たなプラークが形成されます。プラーク内の歯周病菌は、さらに歯茎や歯肉の炎症を起こし、歯周ポケットの奥深くまで入り込みます。このようにして、歯を支える歯槽骨が破壊され、溶けてしまう状態が重度の歯周病で、最悪の場合には歯が抜けてしまいます。
また、歯周病になる原因は歯周病菌によるものだけではありません。感染症や慢性病など、免疫力が低下する病気と相互的に作用しています。全身の免疫が低下すると口の中でも免疫作用の働きが弱くなり、細菌の増殖もさかんな状態です。歯周病菌の増殖スピードも速まるため、より歯周病の進行が早まります。そのため、糖尿病や心疾患などの慢性病がある方は、症状が悪化すると歯周病も進行することが多いのです。
他にも、妊婦さんや喫煙者の方、ストレスが多い方も免疫力が低下しているので、歯周病を起こしやすい状態です。第一に歯周病の予防にはプラークを形成させない歯磨きが重要です。そしてプラークができてしまっている方は、早めに歯科医院でプラーク除去を行ないましょう。歯周病の症状が出ていたとしても、どの段階でも放置せず、早期治療を始めれば進行を止められる可能性があります。症状が出ている方はもちろん、不安な方は歯科医院でご相談してみてください。