歯科コラム

歯周病対策に効果的な予防方法と歯磨き手順とは

「万病の元」ともいわれる歯周病は、悪化することで全身に影響を及ぼすといわれています。早期に治したい疾患ですが、日常の中で歯周病に対して「なにができるのか」知りたい方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、歯周病の治療や予防に効果的な歯磨きの方法について解説します。歯周病についての正しい知識と歯磨きの方法を知って、口腔内と体の健康寿命を延ばしていきましょう。

歯周病は怖い?予防・診断・治療で改善を目指そう

歯周病は、歯と歯茎の境目に細菌が溜まり、出血や炎症を引き起こす疾患です。歯を失うなどの口腔トラブルだけでなく、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、大腸がんを発症するリスクを高めます。糖尿病を罹患していると歯周病が発症しやすく、進行が早いことも判明しています。歯周病初期は自覚症状がなく、悪化してから気づくケースが多くあります。そのため、症状がなくても日頃のケアを丁寧に行うことが大切です。

歯周病を予防するためには毎日の正しい歯磨きで、しっかり歯垢を落とすことが大切です。しかし、セルフケアだけでは歯垢が歯石へと変わるのを防げません。歯垢はおおよそ2日ほどで歯ブラシでは落とせない歯石になり、歯磨きでは落とせなくなります。歯周病が悪化すると、歯茎を切開して歯石を除去するなどの歯周外科治療を行う必要があるため、日々の予防と定期的なケアで改善を目指しましょう。

歯周病を防ぐ歯磨き手順と5つのポイント

歯周病を防ぐには、歯磨きの質を高めることが極めて重要です。以下では正しい歯磨きの方法を説明します。

  • ・正しく磨く
  • ・鏡を見ながら1本ずつ磨く
  • ・寝る前はしっかり磨く
  • ・月1回の歯ブラシ交換
  • ・3~6ヶ月に1回の歯科検診

歯磨きで重視すべきは、歯垢の除去です。歯と歯茎の間に歯ブラシを45度の角度に当て、丁寧に歯垢を掻き出しましょう。鏡を見ながら1本ずつ磨くと汚れの落ち具合もわかります。就寝中は唾液の分泌量が減り歯垢がつきやすくなるため、寝る前はしっかり磨いてください。歯ブラシは、使用開始から1ヶ月で、清掃能力が3分の1になるという報告があるため、月1回は新しいものに変えるのがおすすめです。

歯周病を予防するためにもセルフケアを丁寧に行ったうえで、3〜6ヶ月に1回の歯科検診を受診してください。歯科医師による口腔内のチェックや歯石除去で、口腔内の健康を保ちましょう。

Q1:歯周病はどのくらいの割合でかかるのか気になります
A1:10代半ばでは20%弱程度の方に軽度の歯周病があり、加齢と共に患者さまの数は増加傾向にあります。歯周病の原因となる歯垢は、100%落としきるのは難しくたった2日で歯ブラシでは落とせない歯石に変化するため注意が必要です。また、ストレスも歯周病の原因の一つとされ、加齢とともに罹患の割合が増加します。さらに、歯石などがなくても発症する「若年性歯周病」は、遺伝性の要因で起こります。
Q2:歯周病を悪化させないために注意すべきことはなんですか?
A2:もし喫煙しているのであれば、禁煙したほうがよいでしょう。喫煙の影響を最初に受けるのは口の中です。喫煙は歯茎の血管を収縮させ、歯周病菌に対する抵抗力を低下させるとの研究結果もあります。また喫煙者は歯周病が治りにくいため、予防・治療双方の観点から禁煙が望ましいといえます。