歯科コラム

インプラント治療ができない禁忌例

天然歯の代わりを担うインプラントですが、場合によってはインプラントによる治療ができないこともあります。インプラント治療を検討する際には、まずは自分が治療可能かどうかを確認しておきましょう。今回は、インプラント治療ができない「禁忌症」について解説します。

インプラントの禁忌症とは

インプラントの禁忌症には、「絶対的禁忌症」と「相対的禁忌症」の2種類があります。それぞれの意味を確認しましょう。

絶対的禁忌症
改善することが難しい疾患などが原因で、インプラント治療ができないケースが絶対的禁忌症です。血液疾患や免疫疾患などの病気や既往症がある方のほか、未成年者や妊娠中の方も基本的にインプラント治療を行えません。
相対的禁忌症
相対的禁忌症とは、疾患などが原因でインプラント治療にリスクがあるものの、症状の改善など専門医の判断でインプラント治療が可能になるケースのことです。例として顎の骨の状態や歯周病、高血圧などが挙げられます。

絶対的禁忌症の具体例

特にインプラント治療を受けられない絶対的禁忌例について、具体例をみてみましょう。

・全身疾患などで手術に耐えられる体力のない方
インプラント治療は外科手術を伴うため、手術を受けられる体力が必要です。
・重度の糖尿病の方
1型糖尿病の方は免疫力が低下しており、感染症などのリスクが高くなります。
・肝臓疾患がある方
肝機能が低下していると出血しやすく、リスクが高いといえます。
・心臓疾患がある方
心筋梗塞や狭心症、心臓疾患などを起こして6ヶ月以内は、インプラント治療が発作を誘発する危険性があります。
・血液疾患がある方
白血病や血友病などの血液疾患があると出血が止まりにくくなっており、出血を伴う手術は高リスクです。
・免疫不全の方
免疫機能が低下していることで感染症のリスクがあるほか、骨とインプラント体の結合に影響が出るとされています。
・放射線治療中の方
特に顎骨に放射線治療を受けている場合は、骨髄炎などのリスクがあります。
・抗がん剤治療中の方
免疫力が低下しており、感染症や歯周病などのリスクが高くなります。
・チタンアレルギーの方
インプラントは人工歯根にチタンを使っているため、アレルギー反応が出てしまいます。

このほかにも、疾患や既往歴、服薬などの条件によっては治療不可となるケースがあります。インプラント治療が可能かどうか迷ったら、まずは歯科医に相談しましょう。