歯科コラム

歯周病はお年寄りだけの病気ではありません

公益財団法人8020推進財団による「永久歯の抜歯原因調査」によると、歯の喪失要因として最も多いのが歯周病となっており、その比率は全体の42パーセントにも及びます。

歯周病は高齢になればなるほど重症化し歯を失う可能性が高くなりますが、実際は成人の約8割が歯周病、もしくは歯周病予備軍といわれているため、中高年あるいは高齢者だけの病気ではないことがわかります。 特に、食生活やストレスによって免疫力が低下しやすい30代以降からかかる人が増加する傾向にあり、早いうちから対策しておくことが大切です。

歯周病は初期段階のうちはほとんど自覚症状がないこともあり、気づかないうちに進行しているケースが少なくありません。重症化が進むと、歯を支えている歯槽骨や周辺の歯肉が溶け出し、最終的には歯が抜けてしまう、あるいは歯を抜く治療法しか選択肢が残っていない場合もあります。

歯を失った箇所は、放置しておくと周辺の歯に影響を及ぼしたり、噛み合わせに不都合が出たりと次々と問題を引き起こすため、その対処法として入れ歯やインプラントなどの治療を施すことになり、治療の長期化につながります。また、悪化した歯周病は口腔内の問題だけではなく、全身の健康に悪影響を及ぼすことでも知られています。

口腔内の毛細血管を通して歯周病菌が全身に回り、心臓疾患、脳血管疾患など重篤な病気につながる恐れがあります。歯周病の代表的な自覚症状には歯茎からの出血や歯茎の後退などがありますが、そのような症状が見られた場合は、できるだけ早い段階で歯科医師にかかり治療を始めることで、手遅れになるのを防げます。

予防歯科を行なうことで歯周病を未然に防止できるため、毎日の歯磨きによるケアをしっかりと行ない、特別な自覚症状がなかったとしても定期的な検診をおすすめしています。

歯周病の症状は悪化すればするほど治療が長期化し、治療費も高額になっていきます。日頃から健康的な生活習慣を心がけること、また適切なメンテナンスを意識して、健康的な歯を長く維持していきましょう。